内覧会立会い・同行(マンション)の現場レポート

一級建築士による内覧会立会い・同行(マンション)の現場レポートです。

内覧会立会い・同行の現場レポート :神奈川県横浜市 Part10-3

アネストスタッフの徳永です。内覧会立会い・同行(マンション)(現場:神奈川県横浜市)の現場レポートの続編です。

次は、洋室2部屋の調査です。

各洋室共に水平器を当てて床や壁の傾きを確認したり、踏みしめ歩きをして床鳴りやフローリングの浮きを確認した後に、収納やクロゼットの扉や引き出し、中のパイプハンガーの取り付け具合などを調べていました。

パイプハンガーは掴んで何度か動かしてみて、簡単に外れたりしないかをチェックします。

次に各洋室の窓サッシを開閉し、サッシの重さを比較します。

壁に小さなクロスのはがれがあったので、そこへ指摘用のテープを貼りながら山本さんが一言。

「自社検査の際の補修跡も綺麗ですし、丁寧に施工されていますね」

「自社検査の跡って、やはりわかるものなんですか?」

「そうですね。例えばあの辺り、巾木とクロスの隙間なんかもコーキングで埋めてあるんですが」

そう言って山本さんが洋室の一箇所を指して教えて下さいました。

「・・・綺麗に補修されてるでしょ?」

一見、補修跡とは思えなかったのですが、壁紙と同じような白いコーキング材が使われて、巾木との隙間が埋めてありました。

「なるほど。それとは気付かなかったです」

「こういう物件ばかりだったら、私達が内覧に立会う必要も無くなるんですけどねぇ・・・」

苦笑しつつ、洋室でも特に大きな問題も無かったので、次はバルコニーに移動して調査です。

バルコニーでは床部分に排水に必要な勾配が取られているか、排水口が綺麗になっているかをチェックしたり、物干しや手すりの施工不良が無いか体重を掛けてみてのチェックを行っていました。



また、隣りの部屋との間にある非常脱出用ボードの取り付け具合もチェックし、バルコニーも問題無いとのことで、室内へ戻りました。

さて、丁度お客様と販売会社さんとの設備などの説明も終わり、こちらも調査が終了したところでしたので、調査結果をご報告することとなりました。

「どうでした?」

と仰るお客様ご夫婦に、山本さんはにっこり笑って、

「はい。床や壁の傾きも問題ありませんでしたし、キズ・汚れや不具合なども非常に少ない、良い施工をされておられるマンションです」

と回答。

「良かった~」

お客様ご夫婦が安堵しておられる横で、販売会社さんと施工業者さんがほっとしていました。

「指摘箇所としてテープを貼っていますが、それを今から1つ1つ私よりご説明申し上げながらお客様に確認して頂きますので、お客様の許容範囲かどうかをご判断下さい」

そしてリビングから順番に、山本さんがテープを貼った部分を、指摘理由と共にお客様や施工業者さんにご説明し、お客様が補修を求めた場合は指摘事項として施工業者さんに補修を求め、お客様の許容範囲内であればテープを剥がしていくという確認作業となりました。

「この巾木の上の部分のピンク色の線は、何ですか?」

書斎兼納戸と廊下の巾木にあったピンクの線について山本さんから業者さんに尋ねたところ、業者さんも不明だということですので、原因を追究して頂き、お客様のご希望どおり清掃して頂くこととなりました。

リビングの24時間換気の前で山本さんがお客様へ、ご入居に当たってのアドバイスをしていました。

「マンションは結露が大敵ですので、この24時間換気は出来るだけ開けておいて外気との温度差を無くし、結露を防いで下さい」

また、レンジ部分にあったガラスボードの端が欠けていたことについては、もし取替えとなると大掛かりなことにもなりますので、まず業者さんに補修方法を確認して頂き、その後お客様へご提案することとなりました。

他にはキズや汚れなどの部分がありましたが、山本さんからお客様へ1つ1つ相談しながらの確認となりました。

キズや汚れに関しては、お客様によって補修対象になるかどうかの差異があります。

同じキズでも、お客様によっては気になる方とそうでない方がいらっしゃいます。

今回のお客様ご夫婦も、1つの傷で奥様とご主人様とで判断が分かれたりしていました。

「使ってるうちに傷なんかはつくものだし、これは補修してもらわなくても良いんじゃない?」

「でも、新築だから傷は出来るだけ少ないほうが良いじゃない。これは直してください」

こちらに関して山本さんは、

「実際にお住まいになられるお客様の許容範囲でご判断を頂くのが良いですので、気になるようであれば仰って下さいね」

と回答し、ご夫婦のご意見を確認しておられました。

補修方法によっては大掛かりな工事となる場合と簡単に直る場合とがありますので、その判断も山本さんから業者さんに確認して頂き、補修方法をお客様へお伝えして、お客様のご判断を業者さんへお伝えしていくという形で、山本さんは売り手と買い手の架け橋役になっておられました。

指摘箇所としてテープを貼った部分についての確認を終え、再び皆さんでリビングへ戻った際に、お客様から

「このマンションを買って本当に良かったです。景色も綺麗だし、施工も大きな問題が無いみたいだし」

と満足そうな笑顔で仰って頂いた時には、何だかとても嬉しかったです。

「補修工事をする際にもやはり新たなキズなどが付く場合もありますから、それは再内覧会の際に併せてご確認下さいね」

山本さんからの言葉に、お客様がしっかりと頷いておられました。

調査開始が少し遅めの時間からでしたので既に外は暗くなっており、窓から遠く向こうに見える街のネオンが確かに美しく、お客様だけでなく業者さんたちも皆でしばし窓の外の景色を眺めておりました。

その後、和やかな雰囲気で調査が終了致しました。

今回の調査時間は施工状態や担当業者さんの対応が良かったこともあり、2時間程度で終了致しました。

きちんと施工がなされていれば、こうしてお客様と業者さんの関係についても非常に温かいものになることを実感した調査となりました。

ひどいところだと自社検査もせずに内覧会をする業者もあるようですが、造り手側(売り手側)の誠意を疑いたくなります。

やはり住宅購入という人生にそう何度も無い機会で、なおかつ大金を支払っているわけですから、きちんと施工された物件を引き渡して頂きたいですよね。

今回もとても勉強になりました。

同行させて頂きましたお客様、山本さん、本当に有難うございました。

お疲れ様でした!

※調査後、お客様とお別れする時に「めっちゃ関西弁の時ありましたね!」と、同じく関西ご出身のご主人様にツッコミを頂きました(笑)。失礼致しました・・・。

※同じく調査後にマンションの外に出た途端、雨に降られました。同じ市内で何故かそこだけ降っていたようです。雨女ではないハズなのですが・・・。皆様、申し訳ありません・・・。

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