中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)の現場レポート

建築士による中古住宅の住宅診断(ホームインスペクション)の現場レポートです。

中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)の現場レポート :兵庫県宝塚市 Part1-1

中古一戸建て住宅診断(ホームインスペクション)(現場:兵庫県宝塚市)の現場に同行した模様をレポートしています。今回は、その続きです。前回のレポートが気になる方はこちらから(o^-')b


では、ここからは、建物自体の調査の模様です。

厳密にいうと、建物内部の調査なんです。

というのも、外回りの調査の際に、建物外部はすでにチェック済みだからです。

例えば、家の基礎の部分コンクリートの直押さえにひびが入っていないかとか、外壁の仕上材の浮き、はがれ、腐食などがないか、軒裏の状態などなど...。

力強く次々と排水マスのふたを開け調査しながら、しっかり家の外側も見てはるんですね。さすがベテラン!



もし私が調査するなら、(実際はありえませんが)

『はい、外回りの排水経路見ました。次は、裏にあったガスの設備を見にいきましょうか。次は、塀をグルっと見ましょう。次は、家の外壁をグルッと見ましょうか。はい、次は、雨樋を見るためもう一周。次は...』

 (◎_◎;)

...想像だけでも迷惑な話...

現実は、ベテラン建築士さんが段取りよく調査され、屋外については、

『築19年なので経過年数に応じた劣化はありますが、現時点で大規模な補修が必要だという箇所はない』

とのことです。

この、

"劣化がどの程度なのか"

というところを判断してくれるのが、いいですよね。

中古住宅の築5年の傷みってこんな程度?築20年なら?

というのも知りたいポイント。

経過年数に応じた建物なのかどうかってことは、大事な購入の判断の材料ですもんね。

仲介業者は大丈夫と言ってるけど、本当のことを言っているの?

買わそうとしてるだけなんじゃないの?

もしかして欠陥住宅?

そんな不安まで一緒に買いたくはありませんから。


では、ここから、屋内調査に参ります。

はい、ここで、思い出してください。

調査をご依頼の際に、お客様は特に何が心配だったのでしょうか?

正解⇒家の傾き、土地の傾きがないかが心配
   (雨漏りや排水管のつまりも心配)
   
でしたよね。

で、私は、石垣のひびの状態を見て、

『これは表面のもので、土地や建物が傾いていることはおそらくないと思いますよ』

といった建築士さんの言葉に、本当に傾いてないのかなぁと一抹の不安を感じていたのですが...。

もうすぐ解決です!

リビングに入って、すぐに水平器を取り出した建築士さん。

床や壁、柱の数箇所に水平器をあて

「傾きはありませんね、これを見てください(^_^)」

と、水平器の泡の位置を見せてくれたのです。

「傾きがあるとこの気泡がどちらかに寄ってしまいます。このおうちは大丈夫ですよ。」

水平器って皆様はご存知でしょうか?湾曲したガラス管に液体が入っていてその中に気泡を残しておいて、管が水平になったとき気泡が中央に来るようにしたものです。

(私は、アネストに入社するまで見たことがなかったので、もしかしたら知らない方もいるんじゃないかと、しつこく説明してみました(^^ゞ)

やはり、傾いてはいなかったのですね。安心しました~(*^_^*)

「良かったですねぇ、心配されてましたもんね。」

「ほんとによかったです。」

お母様も、一番の気がかりだっただけに、ほっとされたご様子です。


建築士さんの言葉をちょっとだけ、

『ほんとかな』

と思った私をお許し下さい。

おもちのひびを見て、

『もうそろそろ食べないとやばい』

程度の、"ひび知識"しかない私には、疑うことしかできませんでした。

さすがプロ、恐れ入りました。

でも、何故、地盤に問題があるものではないと、外の石垣を見て何でわかったのでしょうか。

『ひびだといっても心配のいらないもの、そうでないものがあるんですよ。その判断は経験が必要ですけどね(^_^)』

『同じようなひびがないかと、周囲の住宅も見るといいですよ。』

一概には言えないとのことですが、例えば、周辺の家のブロック塀などを見て、ひびが周囲の家のあちこちにあるとかは、地盤に問題がある場合もあるのだそうです。

周辺の住宅も見るのですか...。ますます、すごい。


屋内の調査でしたね、横道にいってしまってますか?私。すみません。

え~、それでは、ここで和室の調査の模様を。

各部屋にもいえますが、建具の調査もします。

この部屋は和室ですから、襖や障子もありますね。

開けたり閉めたり、すべりが悪い箇所がないか、破れがないかなど1枚1枚調べていきます。

そうそう、和室は、畳下もチェック箇所ですね。建築士さん。

又、力強く、ガバっと畳を上げてくれました。



「綺麗ですね、湿気もないです。問題有りませんね。」

綺麗そのもの(^_^)/ 



床下は台所にあった床下収納庫からチェック。収納箱をはずし...懐中電灯を持った建築士さんは体を乗り出して...

のぞきこむことしばしの間、

沈黙...

ここで私が思うのは、中古物件ということもあり(はたまた、TVの見過ぎか)

『シロアリがいたらどうしよう(>_<)』

『TVでやっているような、かまぼこ板をかませたような柱があったら恐いなぁ』

早く出て来て、どんな感じか教えてくださいよ~!

下をのぞきこんでいて顔が赤くなってしまった建築士さんがムクッと顔を上げ

「問題ないですよ(^_^)」

「そうなんですか?」

「換気も充分に確保されています。目視できる範囲には問題有りませんよ。」

「○○さんも見られますか?」

とお客様にも。

「あの部分見えますか?」

「配管もしっかり金具で留めてあるでしょ、こういうところも大事なんですよ。」

「へ~」

床下も問題なしですって!

シロアリさん、かませ板君(←こんな名前でいいのか?) バイバイ(^.^)/~~~


目視範囲はすべて調査対象箇所なので、このレポートにあげなかった箇所の方が多いのですが、そろそろ総評に移りたいと思います。


 "建物の経年劣化による傾きや、基礎の構造的な欠陥は有りませんでした。安心していただける建物です。"

だそうです。

 "しかし、設備面につきましては劣化がはげしいものがあります。
  給湯器については、現在16号ですが、20号以上の能力の給湯器に取り替える事をお勧めします。"


 "屋根は折版屋根(鉄板)で塗装がかなり薄くなってきています。
  ですが、すぐに塗装しないと雨もりするほど塗装が薄くなっている程ではありません。
  ただし、目視ですので、ご心配であれば近年中に塗装される事をお勧めします。"


  (屋根については、2階ベランダから1階の屋根のある部分を確認しました。)

  等々...。納得。納得。

ここはこうした方がいいという具体的なアドバイスは、とても参考になりますね。


「では、本日はこれで失礼致します。後日、報告書もお送りしますので、その件でも何かご質問があれば、ご遠慮なくお電話でも、メールでもお問い合わせ下さいね。」

建築士さん。

「はい、そうさせていただきます。今日は本当にありがとうございました。大変参考になりました。(^_^)」

と、お客様。

あぁ、嬉しい。

私は、普段はオフィスにいますので、お客様とはメールやお電話での対応が主なのです。だから、現場に同行してお客様の生の声を聞けたり、こうして直接お顔を見てお話できるのは、とてもうれしい体験なのです。今日もいろんなお話を聞くことができました。

私こそ大変参考になりました。ありがとうございます。

アネストのサービスを利用してもらった方に、こんな笑顔をもらえたことは嬉しいばかりです。

入居の前には、水周りのリフォームをしたいとおっしゃっていましたよね。(調査の間におしゃべりして、今後の計画を色々教えてくれたんですよ)

このおうちでの楽しい暮らしがスタートできることを心からお祈りいたします。

それでは、【中古一戸建て住宅診断】のレポートはこれにて終了致します。

長々お付き合いいただきましてありがとうございました。

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